こけた。
何年ぶりだろう…いや、10年20年経ってるかもしれない。
こけたのだ。
子どもみたいに、びたーんっと。
放課後、渡り廊下の簀の子の隙間に爪先をひっかけて、見事にこけた。
あの瞬間って、転びゆく自分を見つめてるもう1人の自分がいて、なぜかすごいスローモーションに見える…気がする。不思議。
幸い目撃者は居なかった。
ささっと立ち上がり、何事もなかったように廊下を歩く。
でも、コンクリートの地面でかなり激しく打ち付けた右の膝がジンジンと痛み、恥ずかしさで顔が熱くなっている。
心の中では子どもみたいに泣きたい気分。
痛い、痛い、痛いよぉ。
……
持ち帰りの仕事をしようとデスクに向かいながら、とりあえずこの文章を書いているが、
やっぱり…痛い。右の膝。
さっき貼ったシップがスースーしてるけど。
やっぱり、痛い。
明日の朝、多分右腕も痛むだろうな。
あの瞬間、とっさに腕をついたから。
きっと。